今日のアメリカでセレブと呼ばれるハリウッドのスターやIT富豪など富裕階層の間ばかりでなく政界の著名人たちの間まで、実は“正食”という名の日本式の伝統食習慣が静かに拡がっているのをご存じの方も多いだろう。
日本では“正食”と呼ばれるこの広義の“玄米菜食”は、やがてアメリカのある大病院長、アンソニーサテイラロ博士自身の玄米正食による末期ガンの治癒体験発表によって全米に知られることとなったのだ。
この“玄米正食”、アメリカではマクロビオティックという名の完全自然菜食運動は現在ボストンに本拠を置くKUSHI INSTITUTEによって本格的な推進運動が行なわれている。
何年か前、8日間の集中セミナー(KUSHI INSTITUTE主催)が開催されるというので私も妻を連れ立ってボストンに行ってみたことがある。ボストン郊外のウエストウッド大学という小さな大学の校舎の丁度夏休み中の教室から学生寮まで殆んどを借り切ったこのセミナーは、参加者が泊まり込みで実に600名を超える大規模なものだった。
出席者の殆んどが白人系の人たちで占められていることが、まず私にとって驚きだったが、その600人以上の出席者がいわば日本国籍を持つ正食法を学ぶ有様に驚いた。毎日の食事が“玄米正食”であることは勿論だが、午前、午後そして夕食後もさまざまな講義や料理講習が行われた。それは動物性蛋白質(肉、魚、乳製品、卵など)を一切とらない完璧な菜食主義であるから、神様の教えよりも科学の論証を信じようとする習癖に凝り固まった私のような凡人は見事に何キロもの減量を果したのだった。
そもそも正食、即ちマクロビオティックとは戦前、桜沢如一という極めて独創的な食養研究家によって始まったのだったが、戦後、アメリカではKUSHI INSTITUTEの久司道夫氏によって発展した。先述のアンソニーサテイラロ医師のみならず、多くのアメリカの政治家や著名人がマクロビオティックによってガンを克服した事実が報道されるとマクロビオティックはトム・クルーズからマドンナに至るまで芸能人の間にまで次々と広がったのである。
“正食”の最も重要な点は生命力を高める食材を食べるということに尽きる。しかも、玄米や粟、きびなど雑穀類で精白しないものをよく噛んで食べることなのである。肉類、砂糖類は一切ダメ。
ボストン・セミナーの最終講義で久司氏は次のような話をした。
彼が2〜3年前ベネズエラに旅行したとき、帰路ニューヨーク行きの便を待っていたが、出発予定時刻が2時間も遅れたまま出発ロビーで待たされたという。やがて場内のアナウンスが流れ、「皆様、只今このエアポート上空にUFOが現われ、これがなかなか立ち退いてくれません。ずっと待っているのですがこのUFOがいなくなり次第出発しますのでいましばらくお待ち下さいますようお願いします」という放送だったというのだ。
そんな出来事もいつか忘れて了って半年も過ぎた頃、ボストンの久司氏を訪ねてベネズエラから3人の来客があった。1人が通訳で2人が当人だ。彼等はこう話した。勿論同行してきた通訳付きである。
「私たちはベネズエラから来ました。農夫をしています。今から半年前、私たち二人が自分の畑で農作業をしていた時、突然空からUFOが降りて来ました。恐怖の余り、2人とも畑にひれ伏してじっとしているとUFOの扉が開き宇宙人が降りてきたのです。
宇宙人は私たちのそばに立つと、あなたたちはKUSHIを知ってるか?というのです。知らない、というと今度はMACROBIOTICは知ってるか?というのです。何も知らない、というと宇宙人は「我々はMACROBIOTIC をやっているKUSHIを捜している。KUSHIはいまこの近くにいる筈だ。だから、KUSHIにぜひ伝えてもらいたい。MACROBIOTICを急げ、と。もう余り時間がない、と伝えるのだ。頼みますよ。」と何度も言ってUFOは飛び去って行ったのだった。
さあ、それからが大変でした。村の誰に聞いてみても誰もKUSHIは知らないし、MACROBIOTICも知らないので、町にいって聞いたが誰も知る人はいなかったけれど、カラカス市のこういう人に聞いてあげよう、という人がいて、ようやくあなたに結びついたわけです。私たちは確かにお伝えしましたよ。いいですね。」と言うのだ。
宇宙人の言ったことは、もう余り時間がないということ。現代人がいまのような食事を続けていると人類の間の衝突は避けられなくなるだろう、ということ。衝突は2038年に起きるだろう、それは従来の戦争というイメージで想像したら大間違いで文字通りスターウォーズとでも言うべきものでアメリカ、ロシア、中国など先進各国が既に宇宙空間に打ち上げている衛星の打ち落とし戦争となること。
その時、衛星からの電波に依存する地上のあらゆる産業は壊滅する時がくるのだ、と。だから人間の精神平和を作り上げるマクロビオティックを急がなければならない、と。決して争わない平和の心は完全菜食によってのみ可能なのだから、と。
私の体験でもわすれられないことがある。その一つは、今から45年も前、ロスアンゼルスの都市ホテルを下宿代わりに月極めで独り住いしていた私は夕食後運動がてら決まって1人でダウンタウンのデパートや商店街でウインドウショッピングをして歩いたものだった。今日では信じられない程ロスアンゼルスは安全で平和な街だった。それから間もなくベトナム戦争が始まって様相が一変して行った。戦争では別名「戦闘食」と呼ばれるパック入りのハムソーセージ、チョコレート、チーズ、堅パン、インスタントコーヒーなど酸化食品を食べた兵士たちが引き挙げてくると社会も人心も一変し、ロスアンゼルスは物騒な都市へと転落したのだ。
マクロビオティックで自ら末期のガンを克服したサテイラロ博士が後日、日本各地を講演したとき、彼が目撃した多くの日本の若者がアメリカ的な生活様式を模倣し、ハンバーガーやフライドチキンなどの酸性食品に群がっている姿を見て落胆したように、今日の日本は街に溢れる現代の「戦闘食」によって見事に当時のロスアンゼルスになったばかりか、子供と親が互に殺し合うまでになったのだ。
日本の家庭の食卓が「戦闘食」に溢れているではないか。
私がアメリカ最大のハーブ会社の日本代表者を勤めていた頃、中南米原産の「パウダルコ」という名の樹木内皮のパウダーでガンを克服したニューヨークの現役牧師、バレイロ師の体験談の発表講演会のため通訳として日本の札幌から福岡まで7都市を同行したことがあった。
旅行中、一番困ったことはガン体験者としてのバレイロ夫妻の食事だった。当時の日本はこうした人が安心して食べられるレストランが皆無だったからだ。夜を徹して酒を飲む店ばかりだった。バレイロ師が医師からガンの最後通告を受けたとき、女子高生の姪がやってきて「ガンなんかすぐ治るんだってきいたわよ、何をそんなに落ち込んでるの?」と言ったというのだ。子供って仕様がないナァ、わけもわからずにこんなことを言うんだから、と思ったバレイロ師だったが、「どうすれば治るの?」と聞いたところ「パウダルコという名の木の皮のお茶を飲むんだって!おじさんも飲んでごらんよ。」という。
それからはパウダルコによってバレイロ師のガンは見事に回復に向かうのだけれども、今日にいたるまで日本で初めて紹介したという一種の使命感も手伝って私はパウダルコ茶を販売し続けているし、M10-8シリーズのキトサンS・Sや、ハーバルティーにも原料の一部としてパウダルコを使っている。パウダルコとは何か、と問う人が多い。つまり、パウダルコを知っている人は少ないというわけだ。パウダルコは天然の鉄分などを含む浄血茶で、かつてはインカ帝国の王様のお茶だったといわれる。エネルギーを与えてくれる不思議なお茶だ。
「未来人の食事」についてはまだ続く。次回に譲ろう。