「健康は誰のものか」(2000年9月)

09/01/2000
by Elders International

患者よ「ガンと闘うな」の著者、慶応大学医学部講師・近藤誠氏は、ご自分の学内の出世を諦め、相当の決意でこの著書を出版された。
今日でも私はこの本を座右の書の一つとして何回も読ませていただいている。
当然、騒然たる物識をかもし、今もそれは続いている。ガン治療を中心とした産・学・官の癒着構造が、「治りもしない薬剤を開発させ、承認させ、治療や手術をさせている現実の姿」を白日の下に曝らしたからである。
近藤氏の著書は次々と発表されているが、書物ばかりでなく平成8年の12月号文芸春秋誌上における広河隆一氏(カメラマン、エイズ問題を一貫して追及して現代医療の問題を摘出している)との対談記録は「医療なければ被害なし」とまで言い切っている。この対談でも日本のこのようなエイズ問題などの核心は、帝京大学副学長・安倍英、ミドリ十字という名の製薬メーカー松下という元社長(これが厚生省薬務局長出身)、そして厚生省の当時の現役生物製剤課長・松村という3人の学者と産業人と役人という悪者によって仕組まれた金と名誉欲のからむ殺人事件であったことを明確にしている。
近藤氏の著書と主張は蓄積された経験データに基づいており、アメリカでの臨床、研究、経験に裏打ちされており、日本ではかえって多くの読者から圧倒的に支持されるようになったのである。
最初の書物が発表された頃は「あの人は頭がおかしい」「変人」「不満分子」と惨々だったが、今は医学部進学希望者が「近藤先生のいる慶応大に入りたい」という声が圧倒的だと聞く。かつては学校にとってのお荷物が、今や救世主となった。


私もかつて著書「信仰の栄養学」において「日本の国家的、社会的崩壊が近い」と書いたが、その原因は概ね「食」に起因するのだというのが主張の根拠であった。 危機だ、とか終末だ、とか崩壊だと書かなければ本が売れないからだろう。」という批判があった。しかし、私は本を売るために出版したのでもなく、まして印税収入のために書いたのでもない。現に出版社からの印税はお断りして何百冊かの本でいただいて、その本を希望者に無料で配った。私の主張する日本社会崩壊の原因が食にあるという論拠は、当然今日も変わらないどころか、着々と現実化している。
その一つは、日本人の死因の「2人に1人」がガンとなる日が最後の日だ、ということ。その頃は5人に1人の割合だった。ニつ目は、「少年少女の暴徒化が激増する日がきたとき」。三つ目は、ボケ老人が激増するとき。四つ目は、エイズ氾濫である。これら四つの兆候は、私に言わせればすべて「食」に基因しているのである。一つ目のガンは、今日「2.5人に1人」となったし、二つ目の少年少女の暴徒化は連日、目を覆うばかりである。三つ目のボケ老人の激増も隠し切れなくなる日が近いほど急増している。交通信号を無視して夜間徘徊する老人が増えている。四つ目のエイズこそマスコミの興味からそれているため報道されなくなっているが、現実はドンドン増えているのだ。
最近の報道では殺人を起こした少年の87%は脳組織に異常が発見されたというが、20年も前から学生は「栄養失調」になっていると栄養学者のロバート・キャリソンは指摘していた。彼は「脳のための食べもの」の著者であり、アミノ酸のトリプトファン、フェニルアラニン、リジンなどが思考力、判断力を与えると語っているが、カロリーばかりのファースト・フーズ、スナック菓子、脂肪だらけのファミリーレストラン形の食事からは基本的な必須栄養素は供給されないのが当り前になっているし、体質は毎日酸性化が進みストレスのかたまりのような人間ができあがるのだ。
しかし、現実の社会では、実は食べる前から健康が危機に曝されてゆく。空気の中にはハイドロカーボン、サルファディオキサイド、ニトロゲンディオキサイド、カーボンモノキサイドなどさまざまな有害ガスが充満している。
水道水もクロリンや、またフロライドのようなフッ化物などビタミンEやCを破壊する物質が含まれている。
またタバコもガンのみならず、呼吸器、心臓、循環器系の危険をもたらし、骨粗しょう症という事態にも追いこまれるのだ。このタバコは、つい最近まで日本では政府が製造販売していたのだ。たかがタバコではない。喫煙は血液を酸性化し、骨を構成する燐やカルシウムが溶解し体外に流れ出てしまうから病気への抵抗力も失われるのだ。アルコール類にしてもビタミンBグループの殆どすべてとビタミンAを破壊するし、毎日のストレスもいろいろな栄養を破壊することは明らかだ。ところが、これらはすべて食事をとる前から、既に始まっている危険信号なのだ。だから、私はどんな医師も、どんな評論家も、まして栄養学者もタバコを吸う人は信用しない。また、肥満の人も信用しない。自分が肥満であって、余計な脂肪のかたまりを抱えておきながら他人の健康を語る資格はないからだ。肥満は健康を考えない人の「病気」なのだ。健康は誰のものでもなく、自分のものである。自分の手で守るべき唯一のものである。企業を、学者を、政府を信じこまされてしまうところに恐ろしい落とし穴が仕掛けられていることを近藤氏は指摘したのである。

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