立派な交通手段のなかった古代のユダヤ人は旅に出る時は「遠くへ行くのならゆっくり歩く」ことを戒めとした。大した用事もないのに飛行機を利用したり新幹線に乗車しなかった。近くへ行くのなら急ぎ足で歩けばいいのだが遠い目的地を目指すならゆっくり、確実に一歩を進めないと身がもたないことを知っていたのだ。
ところが今は衣・食・住のすべてに「ゆっくり歩く」人がいなくなってしまった。私がハワイに住んでいる利点を挙げるとすれば、この「ゆっくり歩く」ことと全く無縁ではない。第一ネクタイがいらない。あんなものを首からぶら下げていた時のことを思い返すと笑ってしまう。しかし、だからと言って日本の偉そうな人たちがクールビズとかでネクタイを締めないでテレビ画面に登場しても何と「締まらない」風体に映ることか。クールビズという名称も締まらないが、ネクタイをはずすならスーツもそれなりに変えないとおかしな格好になる。アロハでいいのだ。また、そんなに二酸化炭素の排出を減らしたいのなら自動車の後部席にふんぞり返って座っていないで電車通勤したらどうか。500人もの衆議院議員も半分の250人で充分ではないか。いや100人でも充分やれる筈だ。そうすれば国会の中の二酸化炭素も半減されるだろう。
日本は一体いつからこんなおかしな国になったのか。天皇さまから徳川将軍。偉そうな帝国軍人からアメリカ進駐軍まで次から次へと頭を抑えられて生きてきた日本人は、いつの間にか本音を言わなくなってしまった。だから急に民主主義だといわれても困ってしまう。戦後60年を過ぎても民主主義が何だかわからないでいる。本音を語らない大多数の日本人は、選挙にも投票にも本音を言わない。この「愚かな大衆」は追いつめられると自殺するのだ。毎年3万人が死ぬ。そして今日も愚かな大衆の多数意見が国を危くしているではないか。なぜ本音で語り、本音で見ないのか。ニセモノの改革にも反応しないし要求もしない。たとえば日本中に張り巡らされた新幹線は、私には運賃を高くしただけにしか思えない。日本中の津々浦々にのびた線路一本、一本までが「国鉄」という名の国民の財産だったが、民営化と称して勝手に、一方的に国民資産を取り上げてしまったのである。今日の民営化されたJRの料金の何と高いことか。私は不景気はここから始まったといってもよいように思う。
更にはNTTだ。これも国民の一人一人の財産として全国に張り巡らされていた通信網だった。それをいつの間にか勝手に売り食いされたのだった。最近のIT競争の中で民間各社がどんどんと若い経営者で斬新なアイデアを投入するのに、テレビに登場するNTTの経営者はどの顔も天下りで口先だけが達者な老人だ。これでは早晩負け犬となるだろう。こんな現象はNHKにも見える。国民が料金を払っているわけでいわば株主だ。それなのになぜ経営委員に国民の代表株主が入れないのか、といつも不思議に思う。国民から資本金をとっておき勿らなぜ自民党が口出しするのか、も不思議な組織だ。NHKが毎月発表する消費者のアンケート調査の数字はなぜ民放の数字といつも大差が出るのか、もわからない。渋谷のNHK本社の所在地を歩いてみて驚いてしまった。そこら中のビルにNHK出入りの業者とおぼしき看板が林立している。もう誰も聞きたくもなくなった演歌歌手を使った番組を作っているのもNHKだけだ。長崎や広島市長などの被爆者代表のスピーチで、「アメリカへ訴えたい」という個所をなぜNHKはカットするのか。国民の声即ち株主の声をカットする資格がNHKにあるのか。毎日ニュースとして流すニュース項目は一体NHKの、どこの誰が決定するのか。なぜ火事や殺人ばかりニュースになるのか。なぜ毎日二回も総理の記者会見がNHKで放映されるのか。自民党の宣伝役をやるなら自民党から広告費を取るべきだし、国民の払った料金で自民党だけに有利なニュースのとり上げ方は不適切だ。
「ワーキングプアー」というテレビ番組でそのNHKが受賞した。私もこの本を読んでみた。働いても、働いても貧しくなる階級が生まれてしかも増え続けているという。
しかし、変だナァと思う。ハワイの銀行の窓口の社員は年収約2万ドルであろう。同じ仕事で日本では預金者に金利も払わないくせにその2倍や3倍は貰っている筈だ。だから、日本人は能力以上の給与をとっていることになる。早晩安い労働力の外国人が必要になるのだ。しかも今日の外人労働者はよく働くのだ。日本人の方が働かない。ハワイの住宅は高くなって手が出ないが、日本も住宅と教育費が高くて生活の豊かさの実感を奪い取る。
日本は1億2千万の人口なのに5,000万口座もの年金口座が誰のものかわからなくなった。それでも今期の公務員ボーナスが一人平均69万円も支払われた。それなのに国民という多数意見は何も語らないのである。日本の大企業も下請け仕事を中国に廻してしまったので、その分日本の地方の工場には仕事が来なくなった。ワーキングプアーの本質は地方だけの現象ではない。実は日本全体の未来図なのだ。意志を持たない国民が住む国、日本の明日を暗示しているのだ。
本誌の昨年の12月号で日本の皇室とユダヤの血の流れについて書いたところ、いろいろなお電話をいただいた。これも知りたい、あれも知りたいというお声が多かったが、ユダヤ人の血を引く日本人が余りにもユダヤについて無知であることに驚く。
まずユダヤ人といっても大別して2種のユダヤ人がいることだ。ユダヤ教のいうエイブラハムの血を引く正統のユダヤ人と2世紀に黒海付近に発生したカザール国が自分らがトルコ系白人であったにも拘わらず国をあげてユダヤ教に改宗して、キリスト教やイスラムの脅威から逃れるために「我々はユダヤ人である」と名乗った「自称ユダヤ人」のカザール人がいたということだ。今日では前者はスファラディという名で呼ばれ、後者のカザール人ユダヤはアシュケナージと呼ばれている。スファラディユダヤ人は紀元前722年、アッシリアに虐殺に次ぐ虐殺で亡ぼされたためにユダヤ北朝という10支族のユダヤ人は東へ東へと逃れたのである。アフガニスタン、中国からやがて日本へ到達したと伝える。今日、シルクロードという名の絹の道こそは虐殺から逃れるための恐怖の道だったといえる。「遠くへ行く者はゆっくり歩く」という通り今日でも連日6日間歩いて、7日目の聖日(日曜日)は終日休息したためシルクロードには現在でも7日目ごとに宿場町が残っているのだ。その当時の日本の人口は4〜5百万人だったといわれるが渡来したユダヤ人の一行(秦氏など)は合わせて実に4万5千人にのぼったという。
この逃走の歴史の中でユダヤ人を支えた食事はどんなものだったのか。食事の哲学は今日でも何ら変わらず維持されている。その哲学コードはKOSHERと呼ばれ、聖典にいう創生記の中で神が定めた人間の食べ物という原則を守っている。3,000年前のダニエル書に語られるレンティル豆に代表される雑穀と水は有名だ。古代ユダヤ人はMakrobiosという語句を用いたが今日のマクロビオティックはそこに源流があるのだ。今日、健康食品でKOSHERと書かれている商品は安全だ。